分散システム研究室(坂野研)
一橋大学 ソーシャル・データサイエンス研究科

本研究室では大学院生を募集しています。(※博士後期課程は2025年度開設予定)
入試情報(SDSウェブサイト)

学内外・学年を問わず、研究室の見学や個別相談については気軽にご連絡ください。

1. 研究室の分野について

一橋大学SDSは文理融合であり、様々な分野の研究室があります。
本研究室は理工系寄りのスタイルです。
社会課題の解決へつながる新たな技術を考案し、実験によりその有効性を示すことを研究活動の基本としています。

主な研究分野は、文字どおり分散システムです。
ネットワークを介して複数のコンピューターが連携するための技術を扱います(負荷分散, ルーティング, 合意形成, etc.)。 現代の情報システムの多くは、何らかの形で分散システムとなっており、多種多様なコンピューターの連携が社会を支えています。 本研究室では、今までにない機能・性能を実現する分散システム技術や、それを応用した新たなサービス等の研究をしています。

関連の深い基礎技術としては、TCP/IP、グラフ理論、データ構造とアルゴリズム等が挙げられます。

教員(坂野)は、特に多数のコンピューターが自律的に連携するシステムに興味を持っています。 これまで、通信企業の研究所や、いくつかの大学の情報系学部/研究科で、IoTシステムブロックチェーンを対象として研究をしてきました。 SDSでは周囲の研究室の方々とも知見を交換しながら、学際的な取り組みも広げていけたらと考えています。


2. 取り組む社会課題の例

重点的に取り組んでいるトピックとして、防災スマートシティがあります。

防災
日本の国土は地震をはじめとする自然災害が発生しやすく、首都直下地震や南海トラフ地震の危険性が叫ばれていることからも、防災システムの強化は喫緊の課題です。
防災とは「災害を未然に防止し、災害が発生した場合における被害の拡大を防ぎ、及び災害の復旧を図る」ことを言います(災害対策基本法より)。 基本的な防災対応として、災害やその予兆を検知し、一次対応や危機管理を担うところへ確実に通報することが挙げられます。
近年の大型地震では、通信回線の途絶やそれに伴う緊急通報の不通が発生しており、通報の確実性が十分に担保されているとは言い難い状況です。 そこで、多数の防災設備(火災報知器等)を無線メッシュ網で接続し、災害により通信インフラがダメージを受けていても確実な通報を可能とする仕組み等の研究を進めています。

スマートシティ
スマートシティの実現に向けて、近年、サービスロボットの実用化が進みつつあります。
サービスロボットとは、私達人間の行動を支援するロボットであり、運搬・清掃・警備など様々な機能を持つサービスロボットが実用化されています。 レストランや空港で実働しているロボットを見たことがある人も多いのではないでしょうか。
少子高齢化により、労働の担い手不足が進む日本において、こうしたロボットの普及は重要な意味を持ちます。 しかしながら、同じ空間で多種多数のロボットが共存することには様々な難しさがあります。 お互いの作業が干渉しないようにする必要がありますし、ある作業をどのロボットが担うべきかといったタスク割り当ての問題も生じます。
本研究室では、多種多数のサービスロボットの連携を支える情報共有基盤等の研究を進めています。

※本研究室では主にソフトウェア技術を対象としています。実験で実機を扱うことはありますが、防災センサやロボットのハードウェア開発は(いまのところ)行っていません。

3. 研究テーマについて

やりたいことがある場合は、それを後押しするのが基本方針です。
ただ、研究テーマを設定することは「研究」の中でも特に難しい工程です。このため、教員からも適宜テーマ案を提示します。
いずれにしても、興味とマッチしたテーマに取り組むことを重視しています。
なお、テーマによっては、学外企業等と連携して取り組みます。

良い成果が出てきた研究については、学会等での論文投稿・発表を積極的に行います。
外部発表は、研究内容の議論を深め、新しい着想を得るきっかけとなりますし、プレゼン技術を磨く機会にもなります。
なにより、世界で自分しか知らない知識を共有して歴史に刻む体験はエキサイティングなものです。
特に優れた成果が出ている場合には、海外の学会(国際会議)での発表を行う場合もあります。
国内/外ともに、出張の旅費は大学旅費規定に基づいて研究室予算から支給します。

4. 研究室運営について

自主性を重視しつつ、必要に応じて積極的にサポートする方針です。
コアタイムはありません。夏休み・春休みは、ゼミの無い期間を設けています。

学部生の方については、高い専門性を身につけて社会で活躍していただくために、大学院修士課程への進学を推奨しています。

研究室外の活動についても、できることがあれば協力は惜しみません(ES添削、推薦状作成など)。

5. 計算機環境について

少なくとも以下の機材があります。

  • GPUサーバー (AMD EPYC 32core/64thread, 256GB RAM, NVIDIA RTX A6000 x2)
  • ホワイトボックススイッチ (WEDGE100BF-32X)
  • PCクラスタ
  • 各種IoTデバイス、小型ドローンなど